銀歯は高級品。急激に高騰する銀歯とは。

高級品の銀歯?

銀歯と言われると、保険適応で治療を行える安価なものという認識の方が多いと思います。しかし、今や歯科医院経営を圧迫する、歯科医院廃業の危機に陥れているのも銀歯なのかもしれません。

銀歯とは?
パラジウムブリッジ

銀歯とは日本の保険適応治療で用いられる部分的な詰め物から、被せ物までを総称して「銀歯」と呼んでいます。銀歯の成分は全てが銀ではなく、金、銀、パラジウムなどの多くの成分が混じり合った合金です。12%のパラジウムが入っているこの金属を「12%金銀パラジウム合金、通称金パラ」と呼びます。この銀歯の成分は日本独自の配合で、日本人が詰めたり被せたりしている銀歯は世界的にスタンダードなものではありません。

急騰する銀歯

金銀パラジウム合金

銀歯は元々開発された当時では安価に仕入れられるものでした。しかし、携帯電話の部品や自動車の排気ガスを浄化する触媒としてパラジウムを使用するようになり需要が高まることで「レアメタル化」している状況です。このような背景からパラジウムを含む日本の銀歯は今や「高級品」になってきてしまっているのです。

銀歯の値段

急騰する原因となったパラジウムの相場は2019年現在、6000円/gと高騰し、約二年間で2.5倍に跳ね上がり、金を超える値段になりました。現在は保険診療の規定で歯科用銀歯(金パラ)は1458円/gとして換算していますが、現在金パラの実質価格は約1900円/g(消費税込)であり計算が合いません。つまり、銀歯の治療をすればするだけ歯科医院は赤字になるということなのです。金パラの価格が5%以上変動した場合、保険医療協議会によって保険点数が改定されるものなのですが、厚労省は次回の改定時期の10月までは改定しないと公表しました。

地方歯科医院の困窮

歯を治す材料は銀歯だけではありません。セラミックやジルコニア、コンポジットレジンなど様々あります。その中で保険診療で用いられるものは限られていて、比較的歯に優しく健康に保てる材料は保険外診療となっていることが多いです。銀歯を入れたい歯科医師、歯科衛生士がいるのか?と言うと答えは「NO」という声が多いと思われます。もっと歯に良いものを入れたいと考えるからでしょう。

保険外診療に用いられる材料は歯に優しく長持ちする傾向にありますが、その反面価格が高いです。よって都心よりも地方では保険診療が主となる傾向にありますから、地方の歯科医院では銀歯を用いる機会が多いです。東京都心では保険外診療の割合が全体の50%くらいを占めるのに対し、地方の歯科医院は全体の5%から10%です。つまり、大半の診療で関わる保険適応診療のしかも要となるものが、前述のような状態であると経営を圧迫するということは容易に想像できるところかと思います。

歯科医院の中には金パラよりも安価な材料を用いて治療を行っている医院もあるようですが、その金属は歯と歯の噛み合わせとして硬すぎたり、柔らかすぎたりと適当なものではありません。

 

銀歯は高級品になってきました
金銀パラジウム合金

このまま銀歯の材料が高騰すれば、保険料も上げる他ありませんから、歯科に掛かる診療報酬が上がりますので国としても苦しくなりますが、歯科医院も苦しいですからそうせざるをえません。患者様の負担も上がります。色々な背景からものを見ていかなくてはいけませんが、目の前にある苦しい状況が大きくてはその余裕もなくなってくるものです。保険算定上で悪いことをしたり、詰め物、被せ物を作成する上で金属をあまり使わないように、結果歯に良くない状況を作るような診療を行う医院が増える前に、良い手を打っていくほかありません。自力で乗り越える策を練ります。